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2021年3月の記事一覧

令和2年度 中学部卒業証書授与式

 3月12日、本校体育館において卒業証書授与式が行われ、在校生、中学部教職員、寄宿舎指導員、保護者の見守る中、3名の卒業生が卒業証書を手にしました。自らが主役の晴れ舞台に、緊張しながらも引き締まった誇らしげな表情で式に臨む3名の姿が印象的でした。

 校長からは、東日本大震災発生から10年目の春に卒業する卒業生たちに、

「10年前の昨日、東北、そして福島は未曽有の災害に見舞われました。終わりの見えない恐怖や悲しみに、私たちは言葉を失い、未来が遠のいたように見えました。しかし、あの時から、私たちは、人と人とのつながりと命の大切さを、より深く考えるようにもなりました。皆さんが扉を開けて、新しい道を歩み始めるにあたって、これまでの人とのつながりも併せて思い出してほしいと思います。そのうえでしっかり自分を見つめ、何がしたいのか、何ができるのかを考え続けてください。これからも人と人とのつながりを大切にしながら。あなたが一歩前に踏み出そうとすること。あなたたちとともにいる人たちの力にもなるはずです。」

と、励ましの言葉が贈られました。

 在校生代表からは、3名の卒業生一人一人に対し、思い出と感謝の言葉が述べられ、

「先輩が卒業することも、明日から隣の教室に先輩がいないことも本当に寂しいです。しかし、先輩方にこれまで支えていただいたことを思い出しながら、これからは、私たちも強く優しい存在になれるよう、そして悔いのない学校生活を送るために努力していきたいと思います。」

と、新たな決意が表明されました。

 卒業生代表は、入学時の期待に満ちた高揚感を懐かしく振り返り、協力や努力の素晴らしさを知った学校祭での合唱・合奏の発表の思い出や、コロナ禍の中、3日間の計画が日帰りに変更されながらも共に歩んできた仲間と、貴重な学びの時を過ごした修学旅行の思い出を、一瞬一瞬をたどるように語りました。教職員、寄宿舎の指導員への感謝の言葉に続き、これまで心の支えとなり、見守り、励ましてくださった保護者・家族へ心からの「ありがとう。」を伝えました。そして、後輩たちには

「授業や行事、部活を通して共に学び、過ごすことができ、とても楽しかってです。ありがとうございました。これからも互いに協力し合いながら、充実した中学生活が遅れることを心から祈っています。」

と、言葉が贈られました。最後に

「私たちはこの3年間で学んだことを糧に、自分の目標に向かってまた新たな一歩を踏み出します。私たちを支えてくださった方々との出会いは、かけがえのないものです。お世話になったすべての方々に感謝し、別れの言葉といたします。」

と述べ、3名の卒業生は中学部を後にしました。

 新しい扉を開けて歩み出す3名の卒業生の前途に、幸多きことを祈ります。

卒業証書授与の様子 卒業証書授与の様子

卒業証書授与の様子 式場の様子

在校生代表の思い出と感謝のことば 卒業生からの感謝のことば

     掲示されたお祝いのことばやお花 

   たくさんのお祝いのお言葉や

      お花を賜りました皆様に

         心より御礼申し上げます。

令和2年度 高等部卒業証書授与式

 3月1日本校体育館にて卒業証書授与式が行われました。

 新型コロナウイルス感染予防のため、来賓のご臨席はなく、祝辞もお手元の要項に代え、短時間で椅子の間隔を空け、マスク着用、換気・消毒の徹底、国歌、校歌、式歌の歌唱なしで行われました。普通科2名、保健理療科2名、専攻科理療科1名、それぞれの旅立ちとなりました。

      卒業式会場

「送ることば」より…(抜粋)

 振り返ってみると2年前。この視覚支援学校に入学し、不安な気持ちを抱えていた私たちを温かく迎えてくれたのが皆さんでした。皆さんがつくる、明るく和やかな雰囲気を感じられたことで、これからの学校生活が楽しみに思えたことをよく覚えています。

「卒業」文字とお花と鳥の装飾 壁面の「祝 卒業おめでとう」の文字

 個人の記録更新に全力を尽くした信夫ヶ丘陸上競技場での校内陸上記録会。自らの障がいと向き合い思いをぶつけた校内弁論大会。東北大会を完全勝利で勝ち進み、3年連続出場となった全国盲学校フロアバレーボール大会。私は骨折をして試合にはあまり出場できず応援が中心でしたが、先輩と入ったバラ風呂は良い思い出です。

「ありがとう」卒業生一同の文字 小学部教員の手作り。とても手が込んでいる「お花の輪」

 そして期待を胸に迎えた今年度、新型コロナウイルスの影響で、例年通りにみんなで一緒に活動を行うことが難しくなってしまいましたが、そのような中でも様々なことがありました。手探りで始まったオンライン授業。声が遅れて聞こえたり、画面がフリーズしたり、四苦八苦しながらの勉強ではありましたが、それも今では良い思い出です。

 初めての普通科集会では画面越しに校歌を熱唱しました。オンライン体育では筋トレを行い、コロナ太りを予防しました。理療科では初のオンライン模擬試験も行われ、受験への道のりの厳しさを知りました。

 臨時休業が明け、久しぶりに皆さんと再会したときは、画面越しではなく同じ場所で一緒に過ごせる喜び、集まって活動できる楽しさを改めて実感することができました。

卒業生入場の様子 卒業生の入場

 12月には聴覚支援学校福島校を会場に、全盲のクライマーを招き、ボルダリングを体験しました。「見えない壁だって超えられる」を合言葉に、クライミングウォールを登っていく先輩の姿は、まるで自分の中にある壁を登っていくかのようで、周囲からは熱い声援が湧きあがり、登り切った先輩の笑顔はとても印象的でした。

 残念ながら、直前に中止になってしまった普通科のジョイントコンサートでは、本番さながらに体育館の空間を仕切り、本校生だけでお琴の音色を響かせました。多くの皆さんに聞いていただけなかったことが残念でなりません。

卒業証書授与の様子 卒業証書授与の様子

 12月のイベントといえば理療科の一大イベント、臨床体験発表会も記憶に新しいです。

 昨年度、私たちは先輩方のプレゼンテーション力に魅了され、発表内容に興味を持ち、今年度の取り組みにつながりました。今年度の発表を聞き、一人の患者を継続的に施術していくことの大切さを知るとともに、美容鍼の奥深さを知ることができました。

 また、午後の新たな取り組み、シネメディケーションでは、先輩方はしっかりと下級生をリードし、引っ張ってくださいました。久々の普通科の皆さんとの活動となり、その発表力や表現力にただただ驚かされました。
 視覚支援学校は少人数ではありますが、個性的で魅力溢れる先輩方のリードで、私たちの学校生活は本当に充実していました。

 結びに、皆さんの人生の時間を刻む針が幸せな音を奏で続けることを願い、送る言葉と致します。

卒業証書授与の様子 卒業証書授与の様子

「別れのことば」より…(抜粋)

 振り返ればあっという間の学校生活でした。今、私の頭に浮かんでくるのは、個性豊かな先生方との授業風景や皆の誕生日をお祝いしたクラッカーの音、給食の調理員さんたちの「またね~」の声、予診室で温かく見守ってくれている実習助手の先生方の笑顔です。私たちを支えてくれたすべての方々と明日から会えなくなると思うと胸がいっぱいになります。

「別れのことば」の様子 卒業生の様子

 私たち卒業生のテーマソング、『星影のエール』という歌にこんな歌詞があります。「星の見えない日々を越えるたびに、互い照らすその意味を知るのでしょう。」

 これは、「辛い日や悲しい日を乗り越えるたびに、周りの人の大切さを知る」という意味だと思います。また、「互いを照らす」という歌詞には、誰かに支えられるだけではなく「自分が誰かを支える」という意味も込められているのではないでしょうか。
 障がいがあることは決して楽なことではありません。それでも私たちは、視覚障がいがあったことで、この視覚支援学校で先生方や仲間と出会い、互いに支えあうこと、自分も人の支えになれる存在であることを知りました。

卒業生退場の様子 卒業生退場 最後の礼の様子

 先生のご指導と、在校生の皆さんそして暖かく見守ってくれた家族、多くの方々の「エール」に支えられ、本日、こうして卒業の日を迎えることができました。私たちを支え導いてくださったすべての方に心よりお礼を申し上げます。
 これまで学んだことを糧に、これから先、私たち卒業生一人一人が誰かを支えることのできる「エール」になれるようこれからも励んでいきます。
 最後になりましたが、皆様方のご健康と福島県立視覚支援学校の更なる発展を願い、別れの言葉といたします。

   教室の黒板アート「祝卒業」と教卓の花

    卒業おめでとう!! 君にエールを!!